ハリCANE vol.128

2011年 2月1日

ギャリソンさんのプレーニングフォームの話 第2話。

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何故5インチピッチなのか? その理由は当の本人にしかわからないでしょう。
敢えて物理的に考えると、3インチピッチのフォームはフォーム設定時の歪みが
表面に出やすいこと。 ギャリソンのプレーニングフォームには2本のバーを平行
に保つための平行ピンが無いのです。 昨日、説明しましたが、ギャリソンの
フォームはデファレンシャルボルトで、当時は平行ピンは無しです。 仮に3インチ
ピッチのフォームでコンパウンドテーパーを設定すると、開閉時にネジがセッて快適
な開閉が出来なくなる可能性があります。 平行ピンが装着してあれば3インチでも
問題はないでしょうが、装着してなければ、ピッチが狭いほど設定時の歪が表面に出
るからです。 では6インチピッチならどうか? プレーニングフォームのテーパー
設定は、折れ線グラフのようには行きません。 ボルト間が直線的に開かず、中に狭く
なったり逆にふくらんだりするのですが、ピッチ間が広すぎるとその湾曲が水平平行に
顕著に現れるはずです。 つまり狭いと上に、広いと横にというぐあいに歪が発生します。 
ギャリソンさんも色々試してみて5インチピッチがなんとか使えるということで、
それに落ち着いた可能性も考えられます。

因みに、手前味噌な話ですが、プレーニングフォームの平面精度を向上させる為
平行ピンの装着を行ったのは日本で私が最初です。 今はそれがスタンダードに
なっています。 プレーニングフォームに平行ピンを装着することにより、その
平面精度は著しく向上しました。 ただ指でネジが開閉できるくらい緩いとダメで、
確実な平面精度は得られません。 

ギャリソンさんのエピソードで面白いのは、水道工事屋に工事を依頼し、作業員が
やってきた時、ギャリソンさんはたまたま居合わせず、バールを忘れた作業員が
置いてあるプレーニングフォームをバール代わりに使ってしまったそうです。
曲がってしまったそのフォームでその後も竿を作り続けたということです。 
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ハリCANE vol.127

2011年 1月31日

ギャリソンさんのプレーニングフォームの話。

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レナードやペインなどは機械でブランクを作ったわけですが、ギャリソンは
ハンドプレーン。 プレーニングフォームは5インチピッチでデファレンシャ
ボルトタイプ。 そのボルトは、段差のある2段形状で、ピッチの異なる2種の
オネジが切られています。 フォームの方はそれに対応したメネジがタッピング
されています。 1本のネジだけで開閉ができる優れもの。 ただ、問題点も多く、
現在は押しネジ、引きネジが別々についたプッシュ・プルタイプが主流です。

不思議なのが5インチピッチであること。 アメリカのロッドが3インチか
6インチで設計されているにも関わらず5インチで設計しているのです。 
これだけは今になっても理由が分かりません。 まさにギャリソンミステリー。 

ギャリソンの影響は現在でも多大であるという理由のひとつには、この不可思議
な5インチピッチが今でも生きていてしっかり定着しているという現実があげられ
ます。 我々は何の不思議も感じずに5インチピッチのプレーニングフォームを
今だに使ってブランクを削っているわけです。 3インチあるいは6インチ
ピッチのほうがインチの長さのロッドを作るのに適しているにも関わらずです。

5インチピッチの理由は、本人に聞けば多分簡単な理由でしょう。 ギャリソン
ロッドはギャリソンノードと呼ばれるスパイラルノードの変形パターンです。
つまりスパイラル状に節をズラし、順番に1、2、3、4、5、6と並べずに
1,5,3,6,2,4と並べる方法をとっています。 何故そうしているのか
これは文中に説明してありますが、6気筒エンジンの着火順序に倣ってそうして
いるとのこと。 5インチの理由も案外そんなノリで決めた可能性もあります。
あるいは単なるへそ曲がりだったとか(笑)

インターネットでアメリカからレナード、ペイン、ポールヤング等のテーパー
データを求めても、それらのロッドは3インチや6インチで作られたロッドでも
全て5インチで測定されているのです。 つまり5インチ設計はハンドプレーン
の世界に深く定着してしまっていて、暗黙の了解済みなのです。 ギャリソン
さんの影響力、良くも悪くも大きいのです。 

ハリCANE vol.126

2011年 1月30日

バンブーロッドを自作して楽しむという動きは、アメリカが発祥です。 ついで日本
でもバンブーロッドメイキングという新しい趣味の分野が確立しました。

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日本でバンブーロッドメイキングが流行り始めた頃、この"MASTER'S GUIDE TO BUILDING
A BAMBOOFLY ROD"は手に入りませんでしたので、ある程度の出費を覚悟でもその中古本
が有るか探したものです。 17~18年くらい前の話ですので、ヤフオクもなく
中古情報を得るだけでも大変でしたが、そうこうしている内に再版され、念願かなって
入手できた次第です。

辞書片手に解読しましたが、昔のことなので、正直、内容の多くは忘れてしまっています。
ただ、印象に残っている記述は覚えていますので、この本について興味ある箇所を少し話して
いきたいと思います。 著書はエバリット ギャリソンとホギー B カーマイケルの共著と
なっています。 

ギャリソンが病床でカーマイケル氏にこう言ったそうです。 「自分が死んだ後には、
自分の得た竿作りの経験や知識を屋根裏にしまいこむことなく、それを欲している
多くの人の為に公開してほしい」と。 その善意が現在アマチュアやプロロッドビィルダー
に大いに役立っているわけです。 そうでなかったらロッドメイキングは、ほんの一部の
人の楽しみで終わったはずです。

先日、北海道の友人からバンブーロッドの接着剤で良いものが無いという指摘
を受けました。 2液性のエポキシは竿に向かないと言うのです。 根拠は2液性の
混合されたエポキシ自体の化学変化が進むと自ら劣化していく宿命を持っているので
竿など曲がる物に適していないという。 実験として十数年前に接着したブランクの切れ
端を数本折ってみたところ、接着剤はボロボロであったそうです。 北海道で大きな魚
ばかり釣ってると竹竿は案外簡単に折れてしまったりすることがあるらしいのですが、
原因は魚が大きいからではなく、接着剤がすでに劣化して折れてしまうのだと主張して
いるのです。 ガイドを止めている糸などで補強されて、かろうじて折れないでいるが、
折れる前から既に折れているに等しい状態なのだろうと言う。 70年前のペインなどの
ほうがはるかにしっかりしているのは接着剤が違うからだろうと推測しているのだ。 
現代の化学製品より昔の天然資源から作られる接着剤のほうが良いとは一体どういうこと
なのだと問題提起しているのです。

そんな話を聞いていてギャリソンの言葉を思いだしました。 「化学の未発達なこの時代
にはこんな接着剤しかないが、将来はもっと良い接着剤が出来るであろう」と書いている。
確かに現在は色々な接着材があり恵まれているようにも思える。 しかし、一生使える
接着剤は本当にあるのだろうか? 場合によっては10年も持たないかもしれないのだ。
バイオリンの名器ストラディバリウスは、エポキシ接着材であったなら、現在まで持たな
かっただろうとい話を聞いたことがある。 ニカワの接着だから修理が出来るのだそうだ。 
勿論、楽器と竹竿とでは根本的に話は違いますが、昔は良い物を後世に残そうという考えが
強かったのかもしれない。 現代は物の消費サイクルというものを計算して設計製造され
るのは常識だ。 今のフライラインが機能的であることは確かだとしても、昔の物の方が
より長持ちしたものだ。 竹竿に使う現在の接着剤に関しても どうやら、一回見直して
みる必要があるのかも。

ハリCANE vol.125

2011年 1月29日

最近読んでいるのは吉川英治の三国志。第1巻前半では劉備、関羽、張飛が
義兄弟の杯を交わし、兵を集め官軍の先軍として黄巾賊の賊軍と戦う場面。
案外読みやすく、遅ればせながら読んでみて面白いですね。

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映画レッドクリフも観ましたが、小説では劉備が身を起こすところから始まります。
農民あがりの雑兵と蔑まれる兵を率い、腰の引けた官軍より活躍しても、評価されず、
官軍指揮官に巧く操られる有様など、小説の世界とは言え喜怒哀楽の質は今も昔も全く
変わらないことに新鮮さを感じます。 レッドクリフでは髪の毛グチャグチャで大声
で話す男が張飛。 気が短く、官僚の人を見下した物言いにいちいち腹を立てる短気者。
黒髭を胸まで垂らした槍の名手関羽にこうたしなめられる「小人の小人ぶりにいちいち
腹を立てていたのでは大きな事はできないぞ」・・・ 
関羽は中国で今でも人気の豪傑。 さて熱血男児達の今後の展開は。

ハリCANE vol.123

2011年 1月26日

私が竹竿製作者として多少の危険を承知の上でも採りに行きたい竹。釣竿にしたい竹。 
それがこのロングノードケーン。 節の長さは長いものだと1m30cm程。
もっと長いものも確認されているそうです。 何故この竹か、それは天然ノードレス
ロッドの製作が可能だからです。 たぶんティップアクションよりスローなロッド向き
な竹でしょう。 個人的には私は大のスローアクション派です。

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この写真の物で節長1mくらい。 実際この目でもっと長いものも確認しています。 
分布上、中国には無い竹です。 もしこの竹が中国に生えていたら間違いなく
釣り竿に適していたでしょう。 しかし、熱帯、亜熱帯の篠類はこの篠も含めあっと
いう間に成長するとのことなので、繊維の質が良いかどうかは竿にしてみなければ
何とも言えません。 良ければレオンフライロッドの目玉商品にでもしましょうか。
4月初旬ににサンプリングに行きます。 しかし青竹だと持って来れないですね。
空港の検疫検査で没収なんてことになったらガハハと笑って諦めるしかないですね。

ハリCANE vol.122

2011年 1月24日

私の仕事はリール作り、竿作り、バンブー製作用ツールの製作ですが、もうすぐ
ツール製作の仕事が一段落します。 2月からはぼちぼち竿に取り掛かりますが、
折を見て竹探しの旅に出なくてはなりません。 そう、あのロングノードケーン
を探しに!

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竹探しの旅がタイであれば、それほど苦労はないでしょう。 仏教徒の国は
比較的安全です。 しかし、イスラムの国は過激派がいますので、危険も伴い
ますし、内紛がある国も危ないですよね。 象が沢山いて一見面白そうな
この国スリランカもジャングルに入るとなると危ないようです。 この国に
ロングノードケーンがあることは調べて確認済みです。 しかし行くかどうか決定
する前に、事前に治安情報や色々下調べするところから始める必要があります。 

以下、スリランカの治安情勢(1)と(2)だけスリランカ情報関係のサイトから
コピーしてみました。 これ読んだら、食指が止まりますよね。 よく知らない
でジャングルなど入らないほうが懸命のようですね。 ミャンマーやラオス
などの森林も同様ですよね。 竹探しで地雷踏んだら笑えないですよね(笑)
ロングノードケーン探しの旅は別の国にしたほがよさそうです。

(1)治安情勢について
   北部州におけるスリランカ政府軍とタミル人反政府組織「タミル・イ
  ーラム解放の虎」(LTTE)との戦闘が終結し、2009年5月19日に同国大
  統領は、LTTEを完全に制圧した旨を宣言しました。戦闘終了後は、LTTE
  残党によるとみられる爆弾テロやゲリラ的な攻撃も発生しておらず、政
  府軍・警察等によって国内の治安は保たれています。
   なお、北部州のジャングル等にはLTTEが敷設した地雷や大量の隠匿さ
  れた武器弾薬があるとみられ、政府軍等による地雷除去作業や武器弾薬
  の捜索活動が継続されており、外国人等が北部州のオマンタイ検問所
  (ワウニア市の北部)以北の地域に渡航する場合にはスリランカ国防省
  から事前に許可を得る必要があります。

(2)一般犯罪について
   最近、スリランカ全土で殺人、誘拐、路上強盗、傷害、窃盗等が恒常
  的に発生しています。最近の邦人の被害例は、自宅における空き巣被害
  やバス等公共の乗り物でのスリ被害が報告されています。

ハリCANE vol.121

2011年 1月23日

大変貴重な画像を見つけましたので、ちょっとお借りしてご紹介します。 

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珍しい竹の花。 これが咲くと竹林は全滅してしまいます。 竹類のサイクルは
長いですから、人生に一度見ることが出来るかどうかというくらいのものです。
花が咲くと、種が落ち、また新しい竹林が形成されるそうです。 種子と花の形
が稲のそれに似ている為「イネ科の植物」とされるとのことです。 種子植物で
単子葉類。 竹林サイクルについてですが、根茎を移植して子を繁殖させても、
親が枯れると時を同じくして子も枯れてしまうそうです。 トンキンケーンの
場合、そのサイクルは35年と言われています。 昔アメリカ、ルイジアナや
南米プエルトリコに移植されたと言うトンキンケーンも、母国中国の親竹が枯れる
時には遠く離れた異国に移植された子も時を同じくして枯れるのです。 遺伝子に
組みこまれた生命の砂時計は正確に時を告げるのですね。


ハリCANE vol.120

2011年 1月22日

多田釣具製作所の野鯉竿説明書に記述されるマイロ竹はトンキンケーンではない
だろうという話をしましたが、それはそれとして、個人的には今でも多田釣具製作所
の野鯉竿は憧れで、大変欲しかった竿です。

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私が鯉釣りに興味を持っていた40年前、児童小説家である小西さんという方が
「淡水大魚釣り」という本をお書きになられ、その中に多田釣具製作所の野鯉竿が
紹介されているのです。 ここにその脅威の淡水大魚釣りのテクニック大公開!

小西氏は最初、ハーディーの12フィートの竹竿を使っていたと書いてありました。
ハーディーはカープ(鯉)専用ロッドのマードックというシリーズがありましたが、
恐らく、アーサーウッドかWYE(ワイ)のスペイロッドを使っていたのでしょう。
写真ではリールが下の方に取り付けてあり、リーリングがやりずらそうでした。
いずれにしても、釣り心地の良いそのアクションをモデルに多田釣具製作所に淡水
大物用竹竿を製作依頼したのです。 因みにリールの位置は改善され、ロッドエンド
より30cmの位置になっています。 長いファイトではその位置がべストとのこと。
その後、この銘竿は多田釣具製作所のオリジナル野鯉竿ととして販売開始されたよう
です。 野鯉と言っても対象魚は連魚、青魚、草魚でモンスターに対抗出きる
竹竿です。 こうなると流石に日本の竹では一般的には無理な世界でしょう。 

ロッドは前述の12フィート竹竿2本、リールはアンバサダー5000Cの両軸
タイプを使用。 ライン5号、ハリは角セイゴ15号で2本、ハリス長さ4cm、 
中通し錘。 ざっとこんな仕掛けだったと記憶しています。 ヘラ鮒のように寄
せて釣る釣法で、練り餌の空打ちを繰り返して魚を集めてから釣るというスタイル。
両軸リールを使う理由はサミングして練り餌をポチャンと甘い音で落とすと集魚
効果があるそうです。 竿は1m間隔で2本置きますが1m間隔だと魚が集まれば、
釣糸に触れる気配がわかるからだそうです。「今2本寄ってるな!」と言い当てた
そうです。 また4cmの短いハリスの2本針は魚が掛かると口の周りでもう
1本の針が踊り、魚の顎あたりに必ず引っかかり、そうなるとテコの原理で
どんな大物でも抵抗が少なくなり取り込みが楽だったそうです。 それを可能に
する長さが4cmとのことです。 どの世界にもカミサマはいるのですね。
   
「淡水大魚釣り」を読み憧れた時代はまだ高校生でその高級竹竿は購入できずに
幻となってしまいました。 メーカーなき今、それを似せた野鯉竿を自分で作って
楽しんでいます。マイロ竹の手持ちはありませんので、トンキンケーンで代用させて
もらっていますけど(笑)野鯉竿の説明書は所有者からコピーさせて頂いた物です。

因みに多田釣具製作所の住所、板橋区徳丸町って、私の幼少の頃住んでいた
若木町の家からは徒歩圏内ではないですか・・・

ハリCANE vol.119

2011年 1月21日

多田釣具製作所の鯉竿の説明書にはタイのマイロ竹を使用していると書かれて
います。 またその竹は中国名でトンキンケーンであるとも書かれていると
いう話は前回したとおりです。

どうやらこの竹がマイロ竹のようだ
しかしどう見てもトンキンケーンではない!
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5年程前、私は約1ヶ月間ほど、タイの北部チェンライよりさらに北の山間部に滞在
したことがありました。そこは、タイ、ミャンマー、ラオスの国境にあたるゴールデン
三角地帯と呼ばれる怖くてヤバ~イ場所。 麻薬の密売、人身売買、銃の密輸などが行わ
れる地帯に滞在していたことになりす。(実際には怖い場所ではありませんよ(笑) 
タイ北部の田舎が好きな私は、アカ族の部落の近くのタイ人部落に滞在させて頂きながら
トレッキングをして少数民族を訪ねたりしていました。その経験上では竹はあまり見てない
と記憶しています。一応竹竿師でもある私が竹を見過ごすわけはありません。 同じ北部でも
チェンマイ周辺には竹が多いと聞きますが、チェンマイでのトレッキングでは竹を見る機会
がありませんでした。 映画「戦場に架ける橋」の舞台となったカンチャナブリに多いと
いう情報です。

竹も篠と竹とに分類されますが、一般には両者を竹と表現するそうです。 しかし、厳密に言うと
篠の原産地は熱帯、亜熱帯だそうで、殆どが株化して生えるそうです。 株立ちするということ
は地下茎が短いか殆どないそうです。 想像ですが、写真の竹がおそらくマイロ竹と思われます。 
この竹はタイでは重要な産業資源だそうで、一般建材、箸、工芸品、釣り竿に使用されそうです。 
釣り竿に使われるって?? こんな太い幹ですから、6角竿しか考えられませんよね。 これが
マイロ竹であるなら、どう見てもトンキンケーンではないですね。 また、これがマイロ竹では
ないとしても、調べた限りではタイの竹(篠)は殆ど株立ちする種類が殆どでトンキンケーンは
ありませんでした。 トンキンケーンはアジアの篠類では珍しく株立ちしない種類なのです。 
しかし、一体どうしたらマイロ竹=トンキンケーンと混同したのでしょうかね。 やはりアメリカ
のデマレスト社が冷戦中のエンバーゴの最中に、マイロ竹をトンキンケーンとして販売していた
いきさつがあったからと想像するのは飛躍しすぎでしょうか。

ハリCANE vol.118

2011年 1月19日

先日、桐生市の中村羽舟さんとお話をする機会がありました。
その際、第二次世界大戦後のアメリカは何の竹を使っていたのだろうかという
話に至りました。 私とて知る由も無いのですが、実に興味深い課題です。

アメリカ合衆国第33代大統領 ハリーSトルーマン
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アメリカのチャールスHデマレスト社はトンキンケーンを19世紀後半から中国より輸入
していました。 現在もトンキンケーンの販売を行っています。 日本で最初にデマレスト社
と取引をし竹の輸入をしましたのは、恐らく当店でしょう。 日本への輸出が思いがけなかった
のでしょうか、或る日突然ハロルドHデマレスト社長本人から国際電話を頂き、驚いたものです。
しどろもどろの英語で何とか挨拶を交わしたことが昨日のことのように思われます。 もうかれ
これ17~18年位前の事だと思います。

何度かデマレスト社より竹の輸入をしてましたが、或る日、メールかファックスだったかで大変
興味深い連絡を受けました。 その連絡文によりますと、中国が記録的な長雨に見舞われ、乾燥中
のトンキンケーンが殆ど腐敗し、申し訳ないが注文に対応できません、という内容でした。 また
その事態は第2次世界大戦後のエンバーゴ(禁輸)以来の危機であると記され、冷戦中は竹の仕入れ
には大変苦労をしたとまで書いてあったのです。 エンバーゴという言葉をその時初めて
知りました。 当店もトンキンケーンが輸入出来ないのは緊急事態でしたが、それはそれとして、
数々の難関を乗り越えトンキンケーンを輸入するデマレスト社の情熱に心打たれたものでした。 

さて、第二次世界大戦後、アメリカ合衆国では第33代大統領トルーマンが反共政策として
1947年にトルーマンドクトリンを発令します。 本格的な冷戦時代に突入した訳です。 
中国との国交は断たれ、デマレスト社も先にご紹介した連絡文にあった通り、トンキンケーン
も輸入出来ない事態になった訳です。 1971年に国交開始するまでの24年間、トンキン
ケーンの輸入が叶わなかったのであれば、別の竹をトンキンケーンの代わりに使わないとなり
ません。 アメリカのロッドメーカー達が首を伸ばして竹の提供を待ち望んでいたはずです。

ベトナム戦争をしかけた関係上、ベトナムの竹を輸入することはありえないでしょうから、
考えられる可能性の一つはタイの竹ということになります。 その根拠としましては、実際に
タイの竹が釣り竿用に使用されていた経緯があるからです。 私の手元にある多田釣具製作所の
鯉竿の説明書によるとタイのマイロ竹を使用したと書いてあります。 マイロ竹=トンキン竹で
あるとも記されています。 しかし、トンキン竹は広州の茶カン竹の事で、タイには存在しない
竹です。 マイロ竹がトンキンケーンであるはずはありません。 多田釣具製作所が正しく認識
されていなかったのでしょうが、アメリカがマイロ竹をトンキンの代用として輸入していたのを
知っていて認識を混同された可能性も考えられます。

第2の可能性としては、香港経由での竹の輸入です。 香港は99年間の契約でイギリス領と
されていたわけですが、その間は自由貿易港な訳ですから、香港から何らかの竹(トンキン
ケーンであったかもしれないし、よく言われる香港の建築足場用の竹かもしれない)を輸入
していたとも考えられます。 

良くバンブーコレクターが良く言うところの第二次世界大戦前の竹は良かった。 戦後は
トンキンが悪くなったと言う意見を聞くことがありますが、トンキンケーンが戦争の前と後で
急に質が落ちるはずもありません。 戦後は1971年の国交回復にともなうデマレスト社の
トンキンケーン輸入再会までの間、トンキン以外の竹が使用されていた可能性があるとすれば
竹の質が落ちたという彼らの意見は的外れであったとしても鋭い指摘であると言えます。 
いずれにしても現在、デマレスト社は広東省懐集産のトンキンケーンを輸入販売しています。
敬意を持って、100年後もそうしていることを大いに期待したいものです。

ハリCANE vol.117

2011年 1月14日

昨日、渋川カーティスクリークIさん所蔵のエドワーズの4角ロッドを拝見させて頂きました。
貴重なロッド大変参考になりました。 ありがとうございました。 

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さて、まず驚いたことは、バランスの良さ。 持ち重り感が非常に少ないということでしょうか。 
写真左の8’0”3ピース#5。 ホローではないと言う。 それでもとにかく軽い!

竿の軽さを実現するには次つの方法があると思います。

1. ホローにして重要軽減する
2. 軽い竹を使う
3. 火入れを強く入れ、細身に作る
4・ 竹フェルールを使う。 スプライスロッドにする。
5. テーパーを強く、つまり先を細く、バットを太くして
   持ち重り感を軽減する

1~4までは、ロッドの実重量を軽くする方法ですが、 5は持ち重り感、つまり感覚的に
軽くする。 7フィート 100gのロッドでもテーパーが急であればバットヘビィーとなり、
軽く感じますし、トップヘビーなら重く感じます。 軽快なティップアクションのほうが
パラボリックよりも普通は軽く感じるはずです。

4角ロッドの軽さはどうもテーパーバランスから来る軽さのような感じがします。 想像ですが
4角ロッドに関してはかなり急テーパーにしないとバットが負けてしまうのではないでしょうか。 
写真のエドワーズは皆バットが太めです。 この位太くしてちょうど良いアクションになるので
しょう。 その結果としてバットヘビィーになり、持ち重り感が少ないロッドに仕上がるようです。 
4角ロッドの魅力正にここにあり!

ハリCANE vol.116

2011年 1月13日

ワンコの朝の散歩で見つけたイヌフグリの花。 普通この辺りではこの時期まだ
咲かない花です。 (イヌフグリ:土手や畦道に咲く野草。小さな青い花を咲かせます)

inufuguri_convert_20110113090821.jpg

昨年は、というより一昨年の10月にこのイヌフグリが咲き出し冬を越て
翌年(昨年)4月まで咲き通すという前代未聞の事態に驚いたものです。
イヌフグリは春を告げる花です。 昔なら熊谷近辺のこの辺りでしたら3月位から
顔を出し春の訪れを告げるのです。 早くても2月の末頃からだと思います。 
温暖化で咲く時期が早くなっているのですね。

そう、それと昨日ラジオで雀が居なくなったと言ってましたが、これは本当ですよ。
めっきりその姿を見なくなりました。 数年前までは屋根の間を飛び回る姿が
普通の景色でしたが、何時の間にか見かけなくなりました。 
今日の散歩で珍しく雀の小集団をみましたので一応安心はしましたけど
その集団の小ささに一抹の寂しさを感じました。 冬は枯れた切り株の残る田圃
に飛び群がる雀の大集団を見ては田園の風物詩を感じたものですけどね。
そういえばシロセキレイなどの他の小鳥が増えていますね。 時を同じくして
知らぬ間に雀が減っていたのです。 これは、温暖化とは関係ないことですが、
ここ十年ほどの間に家が新築されて、雀の入り込むめない住宅に変わってしまった
のが原因だと思われます。 小さな変化。 これを見逃さないようにしたいですね。

ハリCANE vol.115

2011年 1月12日

1月になると「1月は長いよ」と親父が言っていたのを思いだします。
確かに1月は長く感じるのです。 親父と私だけかな(笑) もう12日、あるいは
まだ12日。 でもまだ半分以上ありますね。

今日は竹や木の大敵であるキクイムシの話。 初めてこの名を聞く人も多いでしょう。
でも決して珍しい虫ではなく、案外普通に身近にもいる虫なのです。

kikuimusi.jpg

体長はわずか3mm程度。 木を食べるのでその名がついています。
シロアリはアリの種ではなく、どちらかというとゴキブリの仲間とのことです。
このキクイムシは甲殻類です。 たぶん、カブト虫などの仲間ということになると思います。
昨年は異常発生したらしくテレビニュースでもキクイムシの被害を報告してました。 大抵
山林に被害を及ぼしますが、家が喰われてしまうこともあるらしいので、シロアリだけが家の
大敵ではないということです。

さて一見可愛いこのキクイムシ君ですが、竹にとっても大敵であります。 海外から竹を輸入
する際は厳重な消毒処理が法規で定められてますので、竹に付着している現地の菌や虫は殆ど
死んでしまう為、心配する必要はありません。 従って保存している竹が虫害に会うとしたら、
その殆どはこの日本のキクイムシの仕業です。 たまに、カミキリムシの類が竹を食って中
に入り込むことがありますがごく稀です。 因みにキクイムシは竹のコグチより侵入して主に
竹の木部を喰い荒します。 繊維を食べることはしません。 出ていく時は竹の表皮に直径
1mm程度の縦穴をあけて出ていくようです。 キクイムシは繊維は食べませんが、虫害にやら
れた竹はロッドには使えません。 例え繊維が無事残っていても虫の糞尿の成分によって繊維が
冒され、折れやすくなっているからです。

と言うことで、バンブーロッドビィルダーにとってもこのキクイムシは大敵で、保管していた竹を
やられたという話は時々耳にします。 10年寝かせておいた真竹をやられた人もいました。 
竹、篠類どちらもやられます。 しかし、茶カン竹は不思議とやられません。 以前は
アメリカのデマレスト社から竹を輸入していましたが、キクイムシにやられたことは一度も
ありませんでした。 また当店のトンキンもやられません。 恐らく山で採れるトンキンケーン
は栄養が少なく美味しくないのでしょう。 おなじ竹、篠でも川や平地などの栄養の高い土で育つ
篠、竹はすくすく成長し、繊維の密集度が低く、ピス(木部)が多く虫害に会いやすいのでしょう。

ハリCANE vol.114

2010年 1月11日

私の探している竹の名称はシゾスタチュームグランデというものらしい。
インドネシア、マレーシア、タイに分布している節の長~い竹。 私は実際に
現物を確認しています。 その竹の節長は目測1m30cmくらい。 
それだけ長いと2ピースで8’6”の天然ノードレスロッドも作れる計算だ。
もっともそれ以上節長の長いものもあるらしい。 私の手元にある節長が
70cmのサンプルがありますが、もしかしたらそれもこの篠かもしれない。 
竹は節ありて強し。 節の無い竹でロッドを作るとどうなるか。 大きく曲がる
張りの無いアクションになりがちであることは想像にかたくない。 しかし、
腰の弱いアクションをあえて求めるとなるとまた考え方も違ってくる。 
とにかくサンプリングしてロッドにしてみなければ何とも言えないのだ。 
(因みに今流行りのスプライスドノードレスはスプライス部分に接着材を
多く使う為、アクションは張りがあります)

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ジャワ島ボロブドゥール遺跡の奥地20kmに多くあるらしいが、向こうに見える山なのだろうか?
ジャワ島はテロ活動をする過激イスラムが多く、さすがにこの地方に一人旅はちょっと危険だろう。
誘拐されるだけでもたまったもんではないが、それ以上の危険も覚悟しなければならないらしい。
プロフィール

三浦 洋一

Author:三浦 洋一
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